2019.10.13
Road to 10.17 vol.6 坂本 竜三郎(福井ミラクルエレファンツ)
「片山さん、すごいですよね。かっこいいんです、見ていて」。
興奮ぎみに話すのは、坂本竜三郎だ。「片山さん」とは、阪神タイガースに育成指名され、現在は支配下登録されている先輩捕手だ。片山が昨年まで福井で着けていた背番号「22」を自ら継承し、その後を追うべく奮闘している。
阪神との試合で2度、片山と会った。といっても親しく会話をしたわけではない。ただ、その姿や振る舞いを見て感銘を受け、すべてを盗みたいと思った。今や一番の憧れの存在となっている。
「守備やバッティングの技術ももちろんすごいけど、見ていて楽しませてくれる。存在感があるし、僕もそういうふうになりたい」。
地元・福井の鯖江高出身だ。「1年でも早くNPBに行きたいのなら、BCだと年数の制限もないよ」と知人に紹介され、練習見学に訪れたのがきっかけだった。
「NPBの捕手だったいい監督さんって聞いていた」という田中雅彦監督の厳しい指導を受け、みるみる成長した。
「キャッチング、配球…キャッチャーのスキルを教わった。高校野球とは違って高度なことばかり。ちゃんと身に付いたかと言われたら自覚はないけど、少しは成長したと思う。新たな発見もたくさんあったし、充実した1年が過ごせた」。
ただ、残した数字はとても納得できるものではない。前期より後期のほうが落ちたのは体がバテたことに加え、守備と打撃の切り替えができず、より守備のことを深く考えるようになったことで打撃に影響が出たようだ。
「守備と打撃の両立は難しい」。攻守ともに成績を残した片山のすごさを、より実感しているという。
今年、NPBの指名がかかるかは微妙な情勢だ。しかしたとえ指名がなくても、目指す道は変わらない。今年の何倍も練習し、何倍もスキルアップして、いずれ必ずNPBに入って活躍するつもりだ。
「19歳には見えない」とその落ち着きぶりには定評がある坂本だが、さらに本番に強い選手になるべく己を磨いていく。
文/土井 麻由実